所得税確定申告の注意点

上場株式等に係る配当金は確定申告するべきか?

1.配当所得の確定申告

 上場株式等に係る配当金は、所得の種類でいうと配当所得となります。会社から毎月受け取る給与については、年末調整が一種の確定申告のような役割を担っていて、他に所得や医療費控除、ふるさと納税等の確定申告する理由が無ければ、ここで所得税の計算は終了となります。同時に、住民税の申告も会社が翌年の1月31日までに行ってくれますので、ご自身で申告する必要はありません。

しかし、その年に上場株式等に係る配当所得があった場合には、確定申告をした方がいい場合と、しない方がいい場合があります。個々に状況が違うので、ご自分にとって一番いい方法を選択してください。

2.上場株式等に係る配当所得の源泉税課税方法

①確定申告をしない場合

上場株式等に係る配当金の計算書を見ていただくと、既に所得税15.315%(復興税を含む)と住民税5%が天引きされているのがわかると思います。税金を納めた残りが入金されるので、確定申告を行わない方法を選ぶことができます。

この場合、所得税確定申告を行わないということは、税額控除である配当控除を受けることができないこととなります。

②確定申告をする場合

①とは別に自分で確定申告をすることを選ぶこともできます。
確定申告をする場合の計算方法は2つあり、総合課税と申告分離課税と言われるものです。総合課税は、配当所得の全てを他の所得と合計して課税標準を計算し、それに累進課税である所得税率を乗じて所得税が計算されます。この方法では税額控除である配当控除の適用があります。

申告分離課税は、配当所得のすべてを他の所得とは区分して所得税率15.315%と住民税5%が課税されます。配当控除の適用はありません。しかし、申告分離課税を選択すると上場株式等に係る譲渡損失の金額と通算して所得税の減額または還付を受けることができます。

3.配当所得の課税方式の選択について

課税方式に迷った場合、有利選択の分岐点は課税所得金額が900万円以下か超かで考えることができます。

所得税率だけで考えた場合、課税所得金額が900万円以下の所得税率は23%であるため23%から10%の配当控除を差し引くと税率が13%となります。配当所得に係る源泉所得税が15%なので、総合課税を選択した方が2%の税率減となり有利となります。
課税所得税金額が900万円超の場合は、所得税率23%(33%-10%配当控除)となるため確定申告をしない方が結果として有利となります。

しかし、上場株式等の譲渡損失や繰越控除の適用がある場合には、申告分離課税方式を選択して、損益通算や損失の繰越控除の適用を受けた方が有利になる場合があるので注意が必要です。

4.住民税の申告についての注意点

所得税確定申告書を提出すると、所得等の情報は自動的に住民税の計算に移行されます。

しかし、所得税確定申告書の提出の後、住民税の納税通知書が送達されるまでに住民税の申告書を市町村長に提出することで、所得税とは別の課税方式を採用することができます。

実は、知らない人もまだまだ多いようですが、課税所得金額が900万円以下の場合は、所得税については総合課税を選択し、住民税では申告しないを選択した方が有利になります。なぜなら、総合課税を選択した場合の住民税の税率は一律7.2%(10%-2.8%配当控除)なので5%より高く、申告しない方が納税額は少なく済むからです。

また、住民税の所得金額等を基に国民健康保険料、介護保険料、保育料、後期高齢者保険料等の翌年の支払額が決定されるため、課税方式の選択は毎年慎重に行う必要があるので注意してください。