2019年10月1日からの消費税はどうかわる

 2019年10月1日から消費税の法律は大きく変わります。
 そのため、税理士である私たちは税の専門家として、消費税法改正の研修会に参加して勉強し、消費税法改正に対応できるように準備しています。

 しかし、あまりにも専門用語が多く、制度も詳細な部分まで理解しようとすると難しいのが本音です。
 ましてや税の専門家でない一般の法人、個人事業者、今から事業を始める人や会社設立を考えている人にとって消費税法は理解するには難しすぎる法律になってきました。

 税理士にも消費税法の試験を受験して資格取得している方とそうでない方がいるように、どの分野にも得意不得意がありますし、資格だけでなく、勉強しているかそうでないかによっても異なってきます。

 消費税は届出一つで納税額が大きく変わったり、納税と還付が逆転したりととても複雑なものとなっています。その分、消費税法を理解する難易度は高いと言わざるを得ません。

 消費税の難しい部分は、税の専門家である税理士に任せるのが一番賢い方法です。個々に取扱いを慎重に検討する必要があるので、気軽に相談できる税理士は強い味方と言えます。

 今回は、消費税の改正について現時点(平成30年10月31日)で発表されていることの一部を事業者へ向けて紹介します。

 ただし、法案は現時点で成立しておらず、また、あくまでも一般的な話になりますことを予めご了承ください。

1.消費税の仕組み

 まずは、消費税の仕組みから簡単に確認します。
 消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(資産の譲渡・資産の貸付・役務提供)と、外国貨物の輸入取引に対して課されます。(様々な理由から消費税が課されない取引もあります。)

 課税事業者は、取引により預かった消費税から、仕入等により支払った消費税を控除した差額を決算申告又は予定申告により国に納付します。
 消費税の納税者は事業者ですが、前で述べたように消費税は預り的な性格を持つ特殊な税金です。

 消費税は、販売する商品や提供するサービスに転嫁されますが、負担しているのは最終消費者になります。
 したがって、最終消費者が一人一人納税する必要が無いように、事業者が商品の販売やサービス提供時に消費税を預かって国に納付します。

 事業者は、預かった消費税の滞納などが無いように積立等して納税の準備をする必要があります。

2.改正消費税の税率

・平成26年3月31日まで:5%(国4%・地方消費税1%)
・平成31年9月30日まで:8%(国6.3%・地方消費税1.7%)
・平成31年10月1日から:10%(国7.8%・地方消費税2.2%)又は8%(国6.24%・地方消費税1.76%)

3.軽減税率制度の仕組み

 2019年10月1日より、いよいよ軽減税率制度や複数税率制度と呼ばれるものが導入されることが現実的となってきました。おそらく今回の延長はなく、実行されるというのが多くの専門家の意見です。

 消費税が導入された平成元年以降の大きな改正になるこの複数税率ですが、ヨーロッパ等の諸外国ではずっと以前より導入されており、問題も多く裁判で争われることもよくある制度です。

 専門家の中でも、8%、10%の線引きについてハッキリしないところがありますが、現実として導入まで1年を切った今、日本在住である以上、事業者でなくとも知っておくべきところとなってきています。

 軽減税率の対象は、飲食料品の譲渡、新聞の譲渡、飲食料品の輸入に限られています。これらを対象とした理由は、生活に密接にかかわるものなので税負担を考えてのことでしょう。

4.「8%」となる飲食料品の譲渡のポイント

①飲食料品の範囲

 飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類をのぞきます。)を言います。また、食品とは全ての飲食物のうち一定の医薬品、医薬部外品等を除き、一定の添加物は含むものをいいます。
 簡単に言うと、人の飲食用として販売されるものということです。
例えば、医薬品に該当しない健康食品、美容食品、栄養ドリンク(清涼飲料水)は8%、医薬品、医薬部外品に該当する栄養ドリンクは10%です。

②軽減税率の決定時期

 飲食用かどうか決めるのは、その商品を販売する時点で、販売する側が決めます。仮に、同じ商品で人の飲食用にも、ペットの餌にもなるものの税率は、販売する時点で事業者が人の飲食用として販売していれば8%となり、ペットの餌として販売していれば10%になるということになります。
 購入者が、購入後どのように使用するか、どのような目的で購入するかは問わないということです。
 例えは、食用として販売する塩は8%、工業用として販売する塩は10%になります。

③酒税法に規定する酒類

 アルコール分1度以上の飲料又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものは酒類になり、軽減税率の適用はありません。
 例えば、みりん風調味料(アルコール分1度未満)ノンアルコールビールは8%、みりんや料理酒(酒税法の酒類)は10%となります。

④外食の取り扱い

 飲食設備のある場所において、飲食料品を飲食させるサービスを事業者が行った場合、軽減税率の対象とはならず10%となります。
飲 食設備とは、テーブル、椅子、カウンターなどの飲食が行えるような設備になりますので、最近のコンビニにも当てはまります。
また、飲食の専用設備でなくともその設備を利用して飲食していれば、飲食設備に該当することになります。

 例えが、キッチンカーで飲食料品を販売している場合、テーブル、椅子、カウンター等なく販売のみしていたり、仮に購入者が購入後公園のベンチに座って飲食しているときは8%、キッチンカーの事業者がテーブル、椅子等を設置したり、公園のベンチの使用許可を取って飲食させているときは10%になります。

⑤店内飲食と持ち帰りの判断はどうするのか

 ファーストフードやコンビニなどで店内飲食は10%、持ち帰りは8%と同じ商品であるのに消費税率が異なってきます。では、その判断はどの様にするのかというと、ファーストフードは今までも、購入時に店内飲食か持ち帰りかを尋ねられていたので意思表示ができます。

 しかし、コンビニでは購入者ごとにスイーツ、お弁当ごとに尋ねるわけにはいきません。コーヒーも販売しているところが多く、「ここで飲みますか?」「持ってかえりますか?」と聞いていられません。

 よって、例えが店内に「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」と掲示しておき、本人からの申告により判断するという方法が考えられます。
 この場合、その掲示に気づかずに、8%で購入後にイートインコーナーで飲食してしまうこともあるでしょうが、それについては販売時の判断で完結しているものとして後から2%の取立をする必要はないようです。